乾癬の患者さんは、軟膏を塗っても塗っても、なかなか消えてくれない、あの発疹やフケに常日頃からずっと悩まされ続けていることでしょう。しかし、もう悩む必要はありません。本当に、発疹やフケは消えてくれるのです。そのことはまた後で詳しく述べるとして、まず最初に「乾癬」とはどういう病気なのか、ここでわかりやすく箇条書きにして説明したいと思います。
1.乾癬とはどんな病気なのか?
乾癬とは、正常な皮膚から少し盛り上がった赤い発疹の上に、白いフケ{これを鱗屑(りんせつ)といいます}が付着し、ポロポロと剥がれ落ちる慢性の病気です。このフケを無理にはがすと、点状の出血が見られますが、これをアウスピッツ現象といいます。発疹が派手なわりには、痒みはそれほどでもなく、アトピーのように痒くて痒くてたまらない、ということはそんなにありません。もともと、でっぷり太った白人に多い病気でしたが、最近は、食生活の改善に伴って、日本人にも多く、10万人以上の患者さんがいるといわれています。
2.どんな病型があるか?
乾癬には、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱(のうほう)性乾癬、滴状(てきじょう)乾癬、などがありますが、圧倒的に尋常性乾癬が多く、全体の約9割を占めます。尋常性というのは、「普通の」とか、「ありふれた」とかいう意味で、ちなみに、明治時代にあった「尋常小学校」も、全く同じく、”普通の小学校”という意味です。関節症性乾癬は、乾癬に関節炎が合併したもので、発疹はたいしたことがなくても、関節炎が強いことがあります。関節リウマチに準じた治療をする場合があります。膿疱性乾癬は、赤みの上に、小さな膿(うみ)が多発するタイプで、発熱、全身倦怠感を伴うことも多く、乾癬の中では、一番重症型と言えるでしょう。滴状乾癬というのは、子供から若い人に多く、風邪のような症状に引き続いて、全身に、字の如く”水滴のような”小型の乾癬の発疹が一度に多発するような病気です。
3.乾癬の原因は?
HLAという遺伝子に異常があるのでは、とか、活性化T細胞に原因があるのでは、とか、いろいろ推測されてはいますが、まだ完全に解明されたわけではありません。いずれにせよ、皮膚の内面から出現してくる発疹なので、決して他人には移る病気ではありません。原因が全部わかっているわけではありませんから、当然のことながら、現在でも乾癬を一発で治すような根本療法はありません。「なあーんだ、やっぱり治らないのか?!」と、ここでガッカリなさらないで下さい。「発疹を消して、普通の人と同じような生活ができるようにして欲しい」というのを”治る”というのであれば、ほぼ治すことは可能なのです。確かに、慢性疾患ではありますが、そういう意味では、それほど悲観した病気でもありません。
4.どういう場所に発疹が出やすいか?
全身どこでも出るのですが、特にこすれる場所に出やすいと言われています。だから、肘や膝の表側、腰周りによく出るのです。頭も、毛が伸びる時に、毛が皮膚をこするため、発疹がよく出ます。乾癬では、発疹のない正常な皮膚を引っ掻いたり傷つけたりすると、そこに発疹ができることがありますが、これをケブネル現象といいます。だから、皮膚をゴシゴシこすったり、きちきちの細いジーパンなどをはいたりするのはよくありません。
5.乾癬の悪化要因
先程も述べましたように、乾癬はもともと太った外人に多い病気ですので、肥満は乾癬にはよくありません。太った患者さんが、体重を落とすだけで、発疹がかなり減少し、改善する例を何度も見てきました。そういう意味では、乾癬も生活習慣病の一つと言えるでしょう。従って、カロリーの高い食事、脂っこいものを摂り過ぎるのはよくありません。しかし、「オレは、普通の日本人と同じような食事をしていて、そんなに肉類は食べないよ」という方は、そのままの食生活でいいと思います。また、「滴状乾癬」の例でもわかるように、風邪や扁桃腺炎にかかると、乾癬が再発したり、悪化したりしますので、一般の人以上に、乾癬の患者さんは、風邪を引かないよう注意が必要です。タバコも吸い過ぎると、のどを痛め、風邪や扁桃腺炎にかかりやすくなりますから、できるだけ禁煙・節煙したほうがいいでしょう。お酒も飲み過ぎると、痒みが増すことがあるので、適量に。
6.乾癬の季節要因
乾癬は、読んで字の如く「乾いた」「癬(たむし)」です。だから、乾燥した時期は悪化します。また、乾癬の治療として、紫外線を浴びる療法があるのですが、ということは、基本的に日光浴は乾癬にいい傾向をもたらします。つまり、冬のように、皮膚は乾燥し、空気は乾燥している、日光は弱い、という季節には乾癬は悪化します。逆に、皮膚が汗ばむ、空気もジメッとして湿度も高い、日差しも強い夏には、乾癬は軽快することが多いのです。ただし、だからといって、急激な日焼けはよくありません、却って症状が悪化しますので、何でもほどほどに。
以上が、乾癬という病気の概略です。しかし、この病気の患者さんにとって一番の問題は、病気の説明云々もさることながら、この病気特有の発疹とフケをどうやって消すか、止めるか、という一点にあると思います。
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